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ラックの正しい選び方-必要なラック電源・サイズ・耐荷重を見積もる

ラックの正しい選び方-必要なラック電源・サイズ・耐荷重を見積もる

あなたはマネジャーから「次のシステムでデータセンターのラックを借りたいので、どのスペックのラックを借りたらよいか調べておいて」と指示を受けました。
あなたは「ラック電源容量」「ラックのサイズ」「ラックの耐荷重」など、ラック選定のポイントを知っていますか?ラックに求められるスペックを、正確に見積もることができますか?

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単にサーバーの知識があるだけでは、データセンターで最適なラック選定することはできません。ラックのスペックを選ぶための主要なポイント「ラック電源容量」「ラックのサイズ」「ラックの耐荷重」について、正しい確認の仕方を解説します。

電源など、ラックのスペックを決めるパラメータは少数です。しかし、データセンターを利用したシステム設計経験が少ない方は、普段の業務では気にしないようなパラメータもあり正確な見積もりが難しいものです。このコラムでラックの主要な3つの選定ポイント「電源」「サイズ」「耐荷重」の適切な選定方法を理解しましょう。

1. データセンター用ラックを選ぶ基準−電源、サイズ、耐荷重

主要なラック選定基準を上げるとしたら「ラック電源・サイズ・耐荷重」の3つでしょう。

1-1. ラック電源容量

まずは、ラックの電源容量です。工事などがあるためデータセンターの場合、導入時にラック電源容量を厳密に指定し、データセンター事業者に準備してもらう必要があります。

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なお、2000年頃までは、「ラックサイズ」が最も重要な基準でした。しかし、近年「サーバーの薄型化」「同一サーバーに搭載できるCPUの増加」により、「ラック電源容量」がボトルネックとなることが増えてきました。
サーバー機器でCPUは最も電源消費が多い部品です。同じスペースに多くのCPUを搭載できるようになると、スペースが余っていても、ラック電源容量上限がネックとなります。

1-2. ラックサイズとラック数

ラックサイズは、「ユニット(U)」という単位を使うのが一般的です。1Uは、1.75インチとEIA(米国電子工業会)で規格が定められています。ラックサイズのユニット数(高さ)は、事業者にもよりますが、1ラック当り40U程度が一般的でしょう。
ラックに導入する機器が、この40U内に収まるようシステム設計する必要があります。仮に1ラックの範囲に収まらなければ、2ラック、3ラックと準備すべきラック数が増えていきます。

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1-3. ラックの耐荷重

ラックの耐荷重とは、ラックに機器を搭載することができる合計重量のことです。ラックの耐荷重もラック電源容量同様、以前はそれほど重要な基準ではありませんでした。
しかし、1Uサーバーなどの薄型サーバーは、1.75インチという薄さの中にたくさんの機器を詰め込んでいます。よって、1ユニット当りの機器の重量も増加傾向にあります。
そのため、機器選択によっては、ラックスペースより先に、ラックの耐荷重限界になる場合があります。
また、近年ブレードサーバー、ストレージなど、ユニット当り重量が非常に重い機器もありますので注意しましょう。

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2. ラックのスペック選択の基本

2-1. ラック電源容量の決め方

ラックの電源容量は、kVAという単位で決定します。ラックに搭載する機器のkVAの合計を計算するのが基本です。合計電源容量に合った電源設備を手配します。

なお、ラック電源容量計算の詳細について、より詳細に解説したコラムがありますので、興味のある方は、「プロがやっているサーバー電源容量を簡単に計算する方法-kVAって何?」を参照ください。

2-2. ラックサイズの決め方

ラックサイズ選択は、ラック搭載機器の合計ユニット数を計算するのが基本です。ユニット数は、機器のスペック表に記載されています。例えば、40Uのラックであれば、導入機器の合計が40U以内なら、1ラック。それ以上なら、2ラック以上のラックが必要になります。

2-3. ラック耐荷重の決め方

ラック耐荷重計算は比較的簡単です。ラックの耐荷重のスペックは、提供事業者から明確な数字として提示されます。また、ラックに搭載するような機器には、通常重量も記載されますので、搭載する機器の重量を単純に合計します。

3. 注意すべきラック選択の落とし穴

3-1. ラック電源容量選択の落とし穴

ラック電源設備は、電源容量とは別に電源系統がいくつ必要かを選択できます。「合計電源容量が同じであれば、電源設備が1系統だろうが、2系統だろうが同じ」と考える方がいますが、それは間違いです。

例えば、サーバー機器の中には電源系統を2つ持ち、片方が壊れても、もう一方から電源供給が可能なよう電源冗長化が図られている機器があります。この電源冗長化機能をフル活用するためには、ラックに電源設備が2系統以上ある必要があります。せっかく電源冗長化の機能をもっていても、2つの電源コードを同じ電源設備につないでしまうミスもよくみられます。

3-2. ラックサイズ選択の落とし穴

ラックサイズが40Uであれば、導入機器の合計が40Uギリギリまでラック搭載可能なのでしょうか? これは通常不可です。主な理由は、「メンテナンス性」と「排熱容量」の2つです。

まずは、「メンテナンス性」です。サーバーラックには、機器を単純に積むだけではありません。まずネットワーク機器とサーバー機器を接続する必要があります。特にネットワークスイッチのような、たくさんのケーブルが接続される機器の上下などは、ややスペースを空けるのが普通です。また「機器は壊れるものである」ということを、十分に考慮していないラック搭載設計がされてしまう場合もあります。機器が故障すると当然交換することになります。しかし、機器交換に必要なスペースが少なすぎて、機器交換時に大変な苦労をすることもあります。

次は、「排熱容量」です。1台で非常に大きな排熱を出す機器があります。このとき、排熱をうまく逃がすためのスペースを空けておかないと、熱がたまって熱暴走する可能性があります。例えば、ディスクを大量に積んであるストレージ機器、1台のサーバーにCPUを複数個載せているサーバーなどが該当します。

これまでサイズ=高さとして説明してきました。サーバーには、「高さ」「幅」「奥行」の3つがあります。最も気にすべきはラック搭載機器の「高さ」合計です。しかし、個々の機器、特にサーバー機器は、ロングサーバーと言われる特別奥行が長いサーバーなど、標準的なラックでは「奥行」が足りない場合もあるので注意しましょう。

3-3. ラック耐荷重選択の落とし穴

ラック耐荷重は、搭載機器の重量合計を単純計算するだけでよいと記載しました。

しかし、1点だけ注意点があります。機器のスペック表記載の重量は、オプション部品の重量を含んでいません。通常、オプション部品の重量は機器全体の重量からするとわずかな重量なので、よほど耐荷重ギリギリに設計しない限り、スペック表記載の重量計算だけで、問題ありません。しかし、オプション部品の重量が相当量になる場合は、注意が必要です。例えば、本体に数十本のハードディスクを追加するようなストレージ機器では、ハードディスクの重量も勘案して重量計算する必要があるでしょう。

4. ラック選定はボトルネックとなるスペックで決まる

最適なラックスペックを選ぶために、主要な選定ポイントである「電源・サイズ・耐荷重」について、それぞれ説明しました。
ラック選定の最後の重要ポイントが、「ラック選定はボトルネックとなるスペックで決まる」ということです。ラックは、主要ポイントの3つすべてを同時に満たしていないと利用できません。
例えば、最大40Uのサーバラックで、搭載機器の合計サイズが半分の20Uで、ラック電源上限に達したとします。その場合、ラック電源容量がボトルネックとなり、それ以上機器を搭載することはできません。
電源・サイズ・耐荷重、そのうち一つでもラックスペック上限に達した時点で、それがボトルネックとなり、ラック搭載できる機器の数や種類が決まります。

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まとめ

ラック選定を行う場合の、正しいラックの選び方について解説しました。ラックの電源・サイズ・耐荷重の3つの要素を、しっかり把握してラックを選定してください。
なお、本コラムを参考にすれば、あなたにあったラック選定が可能なはずです。しかし、細かい癖のあるラックや、サーバー機器もあるので、最終確認は、データセンター事業者などの専門家の力を借りることをお勧めします。

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