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HPC科学技術計算の救世主か-GPUで作れる「プライベートスパコン」

HPC科学技術計算の救世主か-GPUで作れる「プライベートスパコン」

HPCとは、ハイ・パフォーマンス・コンピューティング、高性能計算のことです。
HPCは、科学技術計算用途で多く利用され、巨大なスーパーコンピュータで計算することが一般的でした。しかし、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)の発展によりHPCに大きな変化が訪れています。

これまでのHPCでは、数100億円~1,000億円という莫大な予算を掛けたスーパーコンピュータ(スパコン)が使われていました。これほど大きな予算を使えるのは、国の研究所などごく一部です。よって、HPCではごく少数のスパコンを共同利用するのが一般的でした。

これまでの、HPC・スパコンの概念を崩すことになるのが、近年発展著しいGPUです。GPUを使えば、HPCに自由に使える「プライベートスパコン」の構築も可能です。

本コラムでは、「HPCとは?」「スパコンとは?」そして、「GPUの発展がHPCに与える影響」について解説します。

1. HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)とは

1-1. HPCの定義

HPCとは、ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(high-performance computing)の略で、日本語では、「高性能計算」といいます。
簡単にいえば、「とても高性能な計算処理環境、または高性能計算処理のための技術」のことです。
HPCが意味する「高性能」は、パソコン1,000台分、10,000台分という、通常のコンピュータ用途とは桁違いな計算能力です。

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1-2. HPCの用途-科学技術研究に必須のHPC

HPCの膨大な計算性能が、なぜ必要なのでしょうか。HPCの用途として、代表的なものは科学技術計算です。
毎年スーパーコンピュータの性能Top500リストが発表されています。上位陣のほとんどが各国の研究機関です。例えば、日本では「理化学研究所」「海洋研究開発機構」などがリスト上位に入っています。
HPCは、実施にたくさんの時間やコストがかかる大規模な実験の代用など、大きな計算量が必要な科学技術計算用途で使います。例えば、「人間のDNA配列解析」「温暖化の地球の影響シミュレーション」「宇宙誕生から現在までの構造形成シミュレーション」など、科学技術の発展に貢献しています。

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2. 科学技術計算とHPC

2-1. 科学技術計算の特徴

HPCの科学技術計算の特徴は、足し算、かけ算など処理自体は単純な演算処理ですが、その計算量が膨大になることです。例えば、気象庁の天気予報用スパコンは、1秒間に847兆回の演算処理する能力を持っています。
科学技術シミュレーションでは、一般に計算能力が高いほど、正確なシミュレーションができます。実際、気象庁の天気予報は、スパコンの計算能力向上により予測精度が向上しています。

2-2. HPCといえば、スパコン

膨大な科学技術計算を処理するHPCで、主に使うのがスーパーコンピュータ、いわゆる「スパコン」です。スパコンは、高額で巨大なコンピュータです。科学技術計算の計算能力を極限まで高めるよう設計されています。
例えば、有名な理化学研究所のスパコン「京」では、構築予算は約1,000億円、京を設置する施設の延床面積は、約1万㎡にもなります。

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2-3. 自由に使えないHPC環境が日本の科学技術研究のネックになるか

「京」の例では、1,000億円の投資と1万㎡もの場所が必要でした。これは、個人はおろか、大企業でも自前で用意することは困難です。そのため、スパコンは共同利用が基本です。科学技術研究者は、スパコンを所有する研究機関に申請し、順番待ちをしてやっと利用することができます。
このように科学技術研究の研究者は、使いたいときに自由にスパコンを使うことはできません。資源が少なく、科学技術立国として成り立ってきた日本の復活には、研究者が自由にHPCを使える環境整備が必要かもしれません。

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3. GPUがHPC環境を大きく変える

3-1. GPUは科学技術計算が得意

GPUは、グラフィック・プロセッシング・ユニットの略で、その名の通り元々3Dゲームや映画のCG作成などの画像処理に使われていました。
「科学技術計算の特徴」で述べた通り、科学技術計算では、足し算・かけ算など単純な演算処理能力だけが求められます。
そして、科学技術計算で求められる演算能力とコンピュータグラフィック処理に求められる演算能力は似ています。GPUは、CPUのような汎用的な処理ができない代わりに、演算処理の高速化に特化しています。単純な演算処理能力では、CPUより遙かに高い性能を持つGPUは、科学技術計算に向いているのです。

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3-2. GPUでHPC用「プライベートスパコン」が手に入る

2009年、長崎工科大学の浜田助教は、GPUを使って3,800万円の予算でスパコンを作り上げました。単純比較はできませんが、約1,000億円の予算で作られた理化学研究所のスパコン「京」からすると、「激安スパコン」といってもよいでしょう。
この安さの秘密がGPUの活用です。市販されているGPUを760個使って並列処理を使って、数100億円~1,000億円のHPC用スパコンと同等レベルの演算性能を実現しました。

激安スパコンといっても、3,800万円は個人には手の出ない金額です。しかし、1つの企業、1つの学部・研究室レベルであれば、予算化も不可能ではないでしょう。
つまり、GPU活用で、HPC用の「プライベートスパコン」を手に入れることができるのです。
国家レベルの予算が必要だったスパコン。HPCへのGPU活用で、企業などの1組織が「プライベートスパコン」を所有し、自由に研究に使うことが可能となりました。このパラダイムシフトにより、今後の科学技術研究のスピードが大きく変わってくるかもしれません。

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