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システム管理者必見 -オフィスビルの法定停電に備えよう

システム管理者必見 -オフィスビルの法定停電に備えよう

企業のシステム管理者であれば、毎年オフィスビルの電源が一斉にダウンする法定停電に悩まされたことがあるのではないでしょうか。
今回は、法定停電とは、どのようなものか、法定停電への対策はどのようにすればよいか、などシステム管理者必見の法定停電について解説します。

法定停電とは

法定停電は、文字通り法律に基づいた停電です。まずは、法定停電が、どのような法律に基づき、なぜ行われるのかを確認しましょう。

法定点検と法定停電

オフィスビルなどの自家用電気設備の設置者は、電気事業法により、保安規程で定めた頻度で電気設備の年次点検を実施することが定められています。これを、「法定点検」といいます。
オフィスビルなどの多くは、年1度、電気設備の点検を行います。法定点検の対象となる電気設備は600Vを超える高電圧で稼働しています。そのため、電源設備の点検には、全館を停電し、電源設備をシャットダウンした状態でおこないます。これが、「法定停電」です。

システム管理者は法定停電に備える

オフィスビルの電気事故を避けるため電気設備の法定点検、それに伴う法定停電は保安管理として重要な手段です。オフィスビルに入居する企業へ影響が少ないよう、法定停電は休日や深夜帯などの業務時間帯以外に行われます。
しかし、多くのサーバーなどのシステム機器は、業務時間帯以外も含め24時間365日、常時電源が供給されていることを前提に設計されています。システム管理者は、システム機器に電源が供給されないという「システムの例外事態」に備える必要があります。

法定停電対策

システム管理者は、法定停電前後に適切な準備を行っておかないと、思わぬ被害を受ける可能性があります。法定停電対策は、なぜ必要なのでしょうか。また、どんな対策を行えばよいのでしょうか。

なぜ、法定停電対策が必要か

システム管理者が、法定停電の対策をとらないと、どんなことが起こるでしょうか。
サーバーなどのシステム機器は、24時間365日電源をつけたままにしておくことが多いです。これらの機器は、急に電源が落ちるとデータが破壊されたり、電力復旧時に電源回路がショートして機器故障などが発生したりする可能性があります。特に、サーバー機器に使われているディスク装置は、データの読み書き時にディスクドライブが高速で回転しており(1分当たり10,000回転前後)、急な停電によりディスクが破損することがあります。
システム管理者は、法定停電に対して、事前にしっかり準備をし、準備した手順に基づき事前のシステムシャットダウン、事後のシステム復旧を行う必要があります。

システム管理者が法定停電で行うこと

システム管理者が、法定停電で行うことは、事前準備から事後作業まで大きく3つに分けられます。

(1)法定停電前準備
  • ・停電前にシャットダウンが必要なサーバー機器、アプリケーションなどをリストアップしておく

  • ・リストアップしたシステム機器、アプリケーションのシャットダウンの手順、および立ち上げの手順をドキュメント化しておく

  • ・万一の障害時に備え、社内および社外の保守担当者、保守担当窓口の連絡先を確認しておく

(2)法定停電前日作業
  • ・データバックアップの実施

  • ・各サーバー機器、アプリケーションのシャットダウン

  • ・ACアダプタを電源アダプタから外す(電源復帰時の過電流による故障を避けるため)

(3)法定停電後作業
  • ・各種サーバー機器、アプリケーションの立ち上げ

  • ・システム動作の正常確認

法定停電時のトラブル

システム管理者は、しっかり準備をしたうえで法定停電に臨む必要があります。しかし、管理対象システムのすべてをシャットダウンし、また復旧させることは、大変複雑な作業です。作業手順のミスや思わぬハードウェア障害などのトラブルが起きる可能性もあります。法定停電時のトラブルには、どんなものがあるでしょうか。

ソフトウェアのシャットダウン・立ち上げの不具合

一つ目が、ソフトウェアの不具合です。OSやアプリケーションソフトウェアのシャットダウン、立ち上げ時に不具合が発生します。

(1)作業手順の不具合

比較的多いのが作業手順の不具合でしょう。シャットダウン後に、本来立ち上げるべきアプリケーションが手順書の項目から漏れており、業務にアプリケーションが使えない状態です。
法定停電翌日の朝に特定のアプリケーションが使えず、慌ててシステム管理者が対応するというのは、よく聞く話です。

(2)ソフトウェアの不具合

次に多いのが、ソフトウェアの不具合です。しっかり準備をしたつもりでも、OSやアプリケーションソフトウェアのバージョンアップなどにより、前回の法定停電時では起きなかったような不具合が起きる可能性があります。また、いわゆるバグとは別で、微妙なソフトウェアの仕様変更により、シャットダウン手順、立ち上げ手順が変更され、以前の作業手順そのままでは、立ち上がらない場合もあります。例えば、OS、アプリケーションのバージョンアップにより、システムを立ち上げるコマンドがいつの間にか変わっていた、などがあります。

ハードウェア故障

2つ目がハードウェアの故障です。ハードウェア故障は、法定停電時に限らず発生しますが、法定停電時には、故障リスクが高くなることが多いです。

(1)不適切なシャットダウンによる故障

ハードウェアの電源を落とす際には、適切なシャットダウンが必要です。作業手順ミスなどにより、適切なシャットダウンが行われずに電源を落とすと、ハードディスク破損などの故障が発生する場合があります。
例えば、シャットダウンコマンドの打ち間違えで、シャットダウンせずに電源を落としてしまった、などがあります。

(2)電源のオフ/オンによるハードウェア故障

法定停電時に意外と多いのが、この電源のオフ/オンによるハードウェア故障です。一般に電源をオンにした瞬間は、通常稼働時より大きな電力が流れます。サーバー機器をはじめとする精密機器は、このわずかな時間の過電流により回路がショートし故障する場合があります。また法定停電では、オフィスビルの電気設備自体を立ち上げなおすため、さらに注意が必要です。法定停電時には、できればすべての精密機器のAC電源をOAタップから外しておくのがよいでしょう。

法定停電そのものを回避する

法定停電時には、システム管理者はしっかりとした準備が必要です。しかし、法定停電対策をしても、法定停電時のトラブルは、減りこそすれゼロになるわけではありません。そこで、「法定停電そのものを回避する」という選択肢が考えらえます。
法定停電の回避は、特に型式の古いサーバー機器を使用している場合に検討すべき選択肢です。古いサーバー機器は、正しい手順でシャットダウン・立ち上げをしても故障するリスクがあります。

データセンターへ移す

法定停電を回避する方法の一つは、システム一式をデータセンターへ移すことです。電源設備の充実した最新のオフィスビルでも法定停電は避けられません。そこで、法定停電自体が起こらないデータセンターへシステム一式を移設することで、法定停電時の作業負担、および法定停電時のリスクそのものを回避することができます。
なお、データセンターの電源設備自体も、「法定点検」は行われます。しかし、一般にデータセンターでは、電源設備の2重化などにより法定点検時でも、停電が起こらないような設計がなされています。

クラウド化する

もう一つの選択肢は、システムをクラウド化することでしょう。近年ますます多くのシステムがクラウド環境で使われています。特にメールやグループウェアなど汎用的なシステムはクラウド化に適しています。法定停電をきっかけにクラウド化を検討する企業も多いようです。
しかし、すべてのシステムがクラウド化できるわけではありません。独自開発した業務システムなどは、オンプレミス環境に残し、将来のクラウド化を見据えて検討するのが現実的な選択肢です。データセンターかクラウドかの2択ではなく、システムの特性ごとにすみわけするわけです。

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